CONCEPT
設計のことば
世田谷中原教会から提案された建設ビジョン「礼拝を献げる教会」「宣教する教会」「地域に開かれた教会」と、教会員から求められた「誰もが入りやすく、親しみを覚える教会」「モダンでインスタ映えする教会」「聖なる光の礼拝空間」が、設計に大きなイマジネーションを与えてくれることとなった。
教会には大切なことが2つあるのではないかと思う。ひとつは礼拝時に聖書を通してキリストの御言葉やキリストの愛が語られ、神への賛美として讃美歌が歌われること。
もうひとつ大切なことは、街の人たちに教会の存在を伝え伝道すること。「教会の形が伝道する」、この言葉を具現化するため教会の角に「大きな十字架」を掲げ、古典言語を含む53の言葉で「主の祈り」をガラス窓に刻んだ。地域の人々に開かれた教会でありたいという願いを込めた。
朝日を十分に採り入れることができるよう、礼拝堂は東側の屋根を高く上げた片流れの空間にし、東側2階ギャラリー上部のハイサイドライトと聖壇上部のトップライトからは、主イエス・キリストを感じさせる天からの光が聖壇の十字架を照らす。
礼拝堂南壁面のスリット窓には、テキスタイルデザイナー橋本京子氏によるファイバーアートのステンドグラスがはめ込まれ、繭のように柔らかく礼拝堂を包む。
礼拝堂聖壇家具・折りたたみベンチ式会衆席・子ども椅子・受付机は、旧礼拝堂で80年ほど使っていた家具をデザイナー松田光二氏が分解補修し、塗装し直し、座面を新しく張って生まれ変わらせてくださった。先達の祈りの染み込んだ家具を使うことによって、信仰の大切さが引き継がれると考えた。
文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より