53言語の主の祈り

世田谷中原教会

日本キリスト合同教会|東京都世田谷区|2022年竣工

世田谷中原教会
STORY

設計のはじまり

80年来の椅子

初めてこの教会の礼拝に出席した時、80年来使っているという折りたためる長椅子に惹かれた。設計の打ち合わせを進める中で、この椅子を修理して使うことが決まった。このことから床の色、壁の質感、梁の形状、採光方法など空間の具体的なイメージが一気に繋がっていった。

また、礼拝空間イメージを広げるものとしてテキスタイルデザイナー橋本京子氏のステンドグラスが空間に柔らかさを加えてくれた。

地域に伝道する教会を表そうと、礼拝堂後側壁のガラス面に世界各地で使われる言語53種類で「主の祈り」を掲げた。数多くの国、地域でキリスト教が述べ伝えられていることに、改めて驚かされた。この建物角は大きな十字架と共に、世界平和の祈りが発信される場所となっている。

CONCEPT

設計のことば

世田谷中原教会から提案された建設ビジョン「礼拝を献げる教会」「宣教する教会」「地域に開かれた教会」と、教会員から求められた「誰もが入りやすく、親しみを覚える教会」「モダンでインスタ映えする教会」「聖なる光の礼拝空間」が、設計に大きなイマジネーションを与えてくれることとなった。

教会には大切なことが2つあるのではないかと思う。ひとつは礼拝時に聖書を通してキリストの御言葉やキリストの愛が語られ、神への賛美として讃美歌が歌われること。

もうひとつ大切なことは、街の人たちに教会の存在を伝え伝道すること。「教会の形が伝道する」、この言葉を具現化するため教会の角に「大きな十字架」を掲げ、古典言語を含む53の言葉で「主の祈り」をガラス窓に刻んだ。地域の人々に開かれた教会でありたいという願いを込めた。

朝日を十分に採り入れることができるよう、礼拝堂は東側の屋根を高く上げた片流れの空間にし、東側2階ギャラリー上部のハイサイドライトと聖壇上部のトップライトからは、主イエス・キリストを感じさせる天からの光が聖壇の十字架を照らす。

礼拝堂南壁面のスリット窓には、テキスタイルデザイナー橋本京子氏によるファイバーアートのステンドグラスがはめ込まれ、繭のように柔らかく礼拝堂を包む。

礼拝堂聖壇家具・折りたたみベンチ式会衆席・子ども椅子・受付机は、旧礼拝堂で80年ほど使っていた家具をデザイナー松田光二氏が分解補修し、塗装し直し、座面を新しく張って生まれ変わらせてくださった。先達の祈りの染み込んだ家具を使うことによって、信仰の大切さが引き継がれると考えた。

文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より

計画概要

所在地
東京都世田谷区
教派
日本キリスト合同教会
敷地面積
310㎡
建築面積
214㎡
延床面積
314㎡
構造
木造
階数
地上2階
設計期間
2018年4月–2021年5月
施工期間
2021年6月–2022年3月

設計クレジット

建築設計
大岡山建築設計研究所+Bricks。
担当
田淵諭/柳勉(Bricks。)
構造設計
小西泰孝建築構造設計
設備設計
酒巻設備設計事務所
照明設計
大岡山建築設計研究所
PA設計
シンエクスプレス
ステンドグラスデザイン+制作
橋本京子
礼拝堂家具補修
松田光二
礼拝椅子製作
伊藤洋平
建築施工
三元建設