バプテストリーを光で満たす

花小金井キリスト教会

日本バプテスト連盟|東京都小平市|2011年竣工

花小金井キリスト教会
STORY

設計のはじまり

チャペル通り

建て替え前そこには小さな教会が建っていた。しかし残念なことに、多くの人は教会とは知らずにその前を通り過ぎていた。

道行く人に教会の存在を知ってもらいたい、教会員のこの希望をなんとか建築で表せないかと考えた。その結果、道路に面した外壁にひとつ穴を穿ち、そこに十字架を入れ込んだ。

昼間は十字架が彫り込まれた白い壁が見え、夜には十字架の光が夜道を照らしてくれる。後にこの路地は「チャペル通り」と呼ばれるようになった。

外壁のこの穴は、礼拝堂内に太陽光を導くと同時に、聖壇にある洗礼槽を照らす仕掛けにもなっている。

CONCEPT

設計のことば

この教会は、1965年バプテスト連盟と宣教団により西武新宿線沿線に伝道の拠点として建てられた。老朽化のため「交わりと祈りに満ちた教会・喜びに満ちた教会・地域に開かれた教会・あらゆる世代が集う教会・どんな立場の人も受け入れる教会」を教会のビジョンに掲げ、建て替えが計画された。

バプテスト系のプロテスタント教会の特徴を礼拝堂の形に表すため、会衆席から見えるようにバプテストリー(洗礼槽)を聖壇中央に配置した。その上部にトップライトを設け、常時バプテストリーに光が注がれ、牧師の背後を光で満たす構成がされている。

礼拝堂正面の聖壇脇の壁には、上下3段に間隔を違えた木格子を用いて、時々刻々と変化する光が会衆に降り注ぐように礼拝堂内に間接光を導いている。格子によって調整された光はグラデーションがつけられ、天へ向けて視線や祈りが向けられるように空間を設計した。

礼拝堂空間は11m×9m、天井高7mで木造大断面集成材を構造に使用している。常時70席を収容し、クリスマスなどには礼拝堂と続く集会室を繋げることで130席の利用が可能となっている。

牧師館は奥の階段を使ってアプローチできるよう、プライバシーを確保し教会堂の気配を感じられる位置に配置した。

教会の外観は、それぞれの教会の信仰告白であり、伝道の役目を担うことが求められる。今回は外壁に開けられた大きなくぼみに十字架を掲げ、夜には道行く人に大きな十字架が浮かび上がる彫刻のような外観を計画した。

文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より

計画概要

所在地
東京都小平市
教派
日本バプテスト連盟
敷地面積
465㎡
建築面積
263㎡
延床面積
332㎡
構造
木造
階数
地上2階
設計期間
2008年8月–2010年12月
施工期間
2011年1月–2011年11月

設計クレジット

建築設計
大岡山建築設計研究所
担当
田淵諭/江川竜平
構造設計
斎藤欽弥(団設計同人)
設備設計
小林好伸(鼎建築設備計画)
電気設備
中山明彦(アヴァンセ)
照明設計
大岡山建築設計研究所
音響設計
森本浪花音響計画
家具設計製作
多田木工所
建築施工
藤木工務店