CONCEPT
設計のことば
この教会は、1965年バプテスト連盟と宣教団により西武新宿線沿線に伝道の拠点として建てられた。老朽化のため「交わりと祈りに満ちた教会・喜びに満ちた教会・地域に開かれた教会・あらゆる世代が集う教会・どんな立場の人も受け入れる教会」を教会のビジョンに掲げ、建て替えが計画された。
バプテスト系のプロテスタント教会の特徴を礼拝堂の形に表すため、会衆席から見えるようにバプテストリー(洗礼槽)を聖壇中央に配置した。その上部にトップライトを設け、常時バプテストリーに光が注がれ、牧師の背後を光で満たす構成がされている。
礼拝堂正面の聖壇脇の壁には、上下3段に間隔を違えた木格子を用いて、時々刻々と変化する光が会衆に降り注ぐように礼拝堂内に間接光を導いている。格子によって調整された光はグラデーションがつけられ、天へ向けて視線や祈りが向けられるように空間を設計した。
礼拝堂空間は11m×9m、天井高7mで木造大断面集成材を構造に使用している。常時70席を収容し、クリスマスなどには礼拝堂と続く集会室を繋げることで130席の利用が可能となっている。
牧師館は奥の階段を使ってアプローチできるよう、プライバシーを確保し教会堂の気配を感じられる位置に配置した。
教会の外観は、それぞれの教会の信仰告白であり、伝道の役目を担うことが求められる。今回は外壁に開けられた大きなくぼみに十字架を掲げ、夜には道行く人に大きな十字架が浮かび上がる彫刻のような外観を計画した。
文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より