CONCEPT
設計のことば
日本聖書神学校は1946年敗戦の混乱の中、東京・目白に開校された。その後日本で7つある牧師養成神学校のひとつとして大きな役割を担ってきた。創立60周年を記念して新礼拝堂と新図書館が計画された。
神学校で学ぶ学生にとって、キャンパスは思索の場であり祈りの場である。キャンパス内の小径や広場で思索や瞑想ができるよう、歴史あるヒマラヤ杉を残し、聖書に登場する植物を植え、それぞれの建物間を回遊できるようにした。配置計画は修道院の持つ静かな中庭や建物群をイメージした。
キャンパス内には内原智史氏の灯りのコンセプトに基づき、「永遠の灯火」のガス灯を設けた。
神学校の礼拝堂は授業としての礼拝に対応できるよう、礼拝形式・人数・広さ・聖壇の形を自由に変えられるフレキシブルな「聖なる空間」が要求される。天井高約9mのバシリカ式空間とし、今まで皆に親しまれてきた礼拝堂のイメージを残しながらも「主の賛美と祈りと光に溢れた空間」となるよう考えた。
2階のギャラリーと合わせると最大260人までの礼拝が可能となる。礼拝堂両側の側廊席部分は、少人数を想定した模擬礼拝には仕切りができるように、また外壁側の大きな開口部は引き戸とし光の調整と壁・窓をシミュレーションできるようになっている。礼拝堂の全ての家具は、簡単に持ち運べる重量の軽い桐でできている。
文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より