神学生の思索の場を設けたキャンパス設計

日本聖書神学校 礼拝堂

東京都新宿区|2008年竣工

日本聖書神学校 礼拝堂
STORY

設計のはじまり

桐は木でなくて草

東京にある牧師養成のための神学校の礼拝堂である。いろいろな教派の礼拝形式を学ぶために、様々な家具配置が可能なようフレキシブルな礼拝空間が求められた。そのため礼拝堂内の家具は、軽さを重んじて全て桐材で製作した。

桐は保温にすぐれ、防虫殺菌効果もあるという。この家具の打ち合わせの中で、桐は樹木でなく草の一種であることを知った。担当の方から「木と同じと書くでしょ」と言われ、ダジャレかと思ったら本当の話でビックリ。確かに座り心地や保温効果は最高である。聖壇のガラスの塊を使ったステンドグラスは、三浦啓子氏にお願いした。

CONCEPT

設計のことば

日本聖書神学校は1946年敗戦の混乱の中、東京・目白に開校された。その後日本で7つある牧師養成神学校のひとつとして大きな役割を担ってきた。創立60周年を記念して新礼拝堂と新図書館が計画された。

神学校で学ぶ学生にとって、キャンパスは思索の場であり祈りの場である。キャンパス内の小径や広場で思索や瞑想ができるよう、歴史あるヒマラヤ杉を残し、聖書に登場する植物を植え、それぞれの建物間を回遊できるようにした。配置計画は修道院の持つ静かな中庭や建物群をイメージした。

キャンパス内には内原智史氏の灯りのコンセプトに基づき、「永遠の灯火」のガス灯を設けた。

神学校の礼拝堂は授業としての礼拝に対応できるよう、礼拝形式・人数・広さ・聖壇の形を自由に変えられるフレキシブルな「聖なる空間」が要求される。天井高約9mのバシリカ式空間とし、今まで皆に親しまれてきた礼拝堂のイメージを残しながらも「主の賛美と祈りと光に溢れた空間」となるよう考えた。

2階のギャラリーと合わせると最大260人までの礼拝が可能となる。礼拝堂両側の側廊席部分は、少人数を想定した模擬礼拝には仕切りができるように、また外壁側の大きな開口部は引き戸とし光の調整と壁・窓をシミュレーションできるようになっている。礼拝堂の全ての家具は、簡単に持ち運べる重量の軽い桐でできている。

文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より

計画概要

所在地
東京都新宿区
敷地面積
3,825㎡
建築面積
1,362㎡
延床面積
3,278㎡
構造
RC造+鉄骨造
階数
地下1階地上2階
設計期間
2003年6月–2006年11月
施工期間
2006年12月–2008年2月

設計クレジット

建築設計
大岡山建築設計研究所
担当
田淵諭/佐藤みどり/岩本浩子/相原利恵子
構造設計
斎藤欽弥(団設計同人)
設備設計
小林好伸(鼎建築設備計画)
電気設備
中山明彦(アヴァンセ)
照明設計
内原智史デザイン事務所
音響設計
森本浪花音響計画
家具設計
大岡山建築設計研究所
ステンドグラス
三浦啓子
彫刻
海老塚耕一
建築施工
株木建設
家具製作
テクノリフォーム