敷地2,000坪・高低差20m、園児も迷子に

大森めぐみ教会

日本キリスト教団|東京都大田区|2019年竣工

大森めぐみ教会
STORY

設計のはじまり

寺町に建つ教会

日蓮宗の総本山池上本門寺に隣接する教会である。敷地は、2,000坪あり東京でも有数の敷地面積を誇る。敷地高低差40m、併設している幼稚園の子どもたちには恵まれた自然環境だが、時々園児も園内で迷子になるとか……。多摩美術大学八王子キャンパスは約4,500坪、坂の多い土地に慣れた身としては、親しみの湧く敷地である。

池上駅から歩いて教会に向かう道中、寺と墓地の多いことに驚く。卒塔婆の間から教会が見え隠れするのは、この教会をおいて他に知らない。

旧教会は、耐震診断で建て替えが必要となった。この教会を設計していて、建築を設計することは建築を含めた環境を設計することであると、改めて感じた。

CONCEPT

設計のことば

教会は面積2,000坪、高低差20m、広大で起伏に富んだ敷地である。敷地中央に教会堂を配置し、誰もが少しでも坂を登らずに入れ、玄関は訪れる人がすぐ見つけることのできる東南に配置した。

礼拝堂は初期キリスト教建築の洗礼堂などに用いられた八角形とし、どの方角からも正面となるようにした。めぐみ坂から敷地西側の幼稚園に向かう時は、礼拝堂の外側からでも礼拝堂の内側の階段を通ってでも、幼稚園に向かえるようにした。

礼拝堂の正面は2枚の折り曲げた壁が空間を支える。この壁はキリストが会衆を招く姿を表している。左右の壁には12の小窓を穿ち、朝日が東側8つの窓から、夕日が西側4つの窓から入るよう設置した。この12の窓は十二使徒を表し、西側4つの窓は四福音書を表している。

キリスト教は光をとても大切にする宗教である。旧約聖書は「光あれ」で始まり、「私は世の光である」「光の子となれ」他いろいろと光をモチーフにして語られている。

聖壇正面はガラスで十字架を穿ち、キリストの光を表している。また、正面両サイドの縦スリットによって、礼拝中でも自然を感じ、日射しの変化で時の流れを感じることができる。

祭壇の壁にはキリストの寝かされた飼い葉桶の藁を練り込み、聖餐卓は聖書のページが重ねられた形を表した。

新しい礼拝堂には、パイプオルガンの良い響きと長めの残響が求められ、オルガン委員会やオルガニストたちと活発に意見交換が行われた。その結果、音響設計通りの約2秒の残響が実現した。音響に関しては、八角形の対面壁が微妙な角度に変形され、オルガンや賛美の共振を避けるようになっている。

文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より

計画概要

所在地
東京都大田区
教派
日本キリスト教団
敷地面積
6,137㎡
建築面積
388㎡
延床面積
545㎡
構造
RC造+鉄骨造
階数
地上2階
設計期間
2014年6月–2018年8月
施工期間
2018年9月–2019年11月

設計クレジット

建築設計
大岡山建築設計研究所
担当
田淵諭/柳勉(Bricks.)/江川竜平
構造設計
小西泰孝建築構造設計
設備設計
テーテンス事務所
照明設計
内原智史デザイン事務所
音響設計
浪花千葉音響計画
聖壇家具設計
大岡山建築設計研究所
ステンドグラス
既存再利用
建築施工
大明建設
家具製作
セイアローズ