CONCEPT
設計のことば
教会は面積2,000坪、高低差20m、広大で起伏に富んだ敷地である。敷地中央に教会堂を配置し、誰もが少しでも坂を登らずに入れ、玄関は訪れる人がすぐ見つけることのできる東南に配置した。
礼拝堂は初期キリスト教建築の洗礼堂などに用いられた八角形とし、どの方角からも正面となるようにした。めぐみ坂から敷地西側の幼稚園に向かう時は、礼拝堂の外側からでも礼拝堂の内側の階段を通ってでも、幼稚園に向かえるようにした。
礼拝堂の正面は2枚の折り曲げた壁が空間を支える。この壁はキリストが会衆を招く姿を表している。左右の壁には12の小窓を穿ち、朝日が東側8つの窓から、夕日が西側4つの窓から入るよう設置した。この12の窓は十二使徒を表し、西側4つの窓は四福音書を表している。
キリスト教は光をとても大切にする宗教である。旧約聖書は「光あれ」で始まり、「私は世の光である」「光の子となれ」他いろいろと光をモチーフにして語られている。
聖壇正面はガラスで十字架を穿ち、キリストの光を表している。また、正面両サイドの縦スリットによって、礼拝中でも自然を感じ、日射しの変化で時の流れを感じることができる。
祭壇の壁にはキリストの寝かされた飼い葉桶の藁を練り込み、聖餐卓は聖書のページが重ねられた形を表した。
新しい礼拝堂には、パイプオルガンの良い響きと長めの残響が求められ、オルガン委員会やオルガニストたちと活発に意見交換が行われた。その結果、音響設計通りの約2秒の残響が実現した。音響に関しては、八角形の対面壁が微妙な角度に変形され、オルガンや賛美の共振を避けるようになっている。
文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より