9m×9mの小さな礼拝堂

永山教会

日本キリスト教団|東京都多摩市|2001年竣工

永山教会
STORY

設計のはじまり

カナンの地

独立する前に所属していた設計事務所のK部長から、永山教会が土地を購入しコンペが始まることを教えていただいた。早速応募し、説明会やプレゼンテーションに伺った。

当時教会は建築を持たず、あちこちの施設を借りて活動していた。I牧師は「出エジプト記のように我が教会は長年エジプトの地をさまよい、ようやく定住の地カナンを見つけたところです」と笑って言われた。大変な苦労をされたはずであるが、淡々と牧師は語った。

よく牧師は羊飼いで、教会員は羊と例えられる。それぞれの教会で、教会員と牧師は似ているように感じる。この教会も、教会員と牧師双方にプラス思考とたくましさを感じたのは言うまでもない。

CONCEPT

設計のことば

東京の西部、京王線永山駅から10分ほど、多摩ニュータウンの一角に建設された木造平屋建ての小さな教会である。

今から遡ること27年前に当教会は創立されたが、建物を建てるに至らず、以来「ゆりのき保育園」を利用して教会建設を夢見て今日まで来た。そしてようやく土地を購入し建設の運びとなった。敷地南東から長い距離を歩き、パーゴラから降り注ぐ光に導かれ、教会玄関にアプローチする。このパーゴラの通路は、俗と聖、喧噪と静寂を分かちキリストと出会う小径である。

エントランスを入ると正面に中庭と木の十字架を望む。極小面積の教会堂であるが、エントランスに中庭を挿貫することで空間に視覚的な広がりを持たせている。

礼拝堂は平面9m×9mの正方形、高さ7mの唐松の集成材構造からなるシンプルな礼拝空間である。

平面の対角線方向に最長の軸線を取り、南東の角に朝日を受ける聖壇を設け、ここから放射状に会衆席を配置した。屋根は対角線上に集成材の大梁を渡し、後部会衆席から聖壇にかけて天井高を高くし、最前部の梁下に木と鉄を組み合わせた十字架を吊るすことで聖壇部分の存在を強調した。壁面上部には屋根まで大きくハイサイドライトを取り、礼拝堂内は朝の光の舞う静かな祈りの空間を構成している。

家具は礼拝堂空間の重要な要素となるため、礼拝堂と同じ正方形をモチーフとし、その空間構造を模した。

文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より

計画概要

所在地
東京都多摩市
教派
日本キリスト教団
敷地面積
393㎡
建築面積
198㎡
延床面積
174㎡
構造
木造
階数
地上1階
設計期間
2000年5月–2001年4月
施工期間
2001年5月–2001年11月

設計クレジット

建築設計
大岡山建築設計研究所
担当
田淵諭/佐藤みどり/中村高淑
構造設計
斎藤欽弥(団設計同人)
設備設計
小林好伸(鼎建築設備計画)
電気設備
中山明彦(アヴァンセ)
照明設計
大岡山建築設計研究所
音響設計
永田音響設計
家具設計
大岡山建築設計研究所
建築施工
大明建設
家具製作
アダル