CONCEPT
設計のことば
東京の西部、京王線永山駅から10分ほど、多摩ニュータウンの一角に建設された木造平屋建ての小さな教会である。
今から遡ること27年前に当教会は創立されたが、建物を建てるに至らず、以来「ゆりのき保育園」を利用して教会建設を夢見て今日まで来た。そしてようやく土地を購入し建設の運びとなった。敷地南東から長い距離を歩き、パーゴラから降り注ぐ光に導かれ、教会玄関にアプローチする。このパーゴラの通路は、俗と聖、喧噪と静寂を分かちキリストと出会う小径である。
エントランスを入ると正面に中庭と木の十字架を望む。極小面積の教会堂であるが、エントランスに中庭を挿貫することで空間に視覚的な広がりを持たせている。
礼拝堂は平面9m×9mの正方形、高さ7mの唐松の集成材構造からなるシンプルな礼拝空間である。
平面の対角線方向に最長の軸線を取り、南東の角に朝日を受ける聖壇を設け、ここから放射状に会衆席を配置した。屋根は対角線上に集成材の大梁を渡し、後部会衆席から聖壇にかけて天井高を高くし、最前部の梁下に木と鉄を組み合わせた十字架を吊るすことで聖壇部分の存在を強調した。壁面上部には屋根まで大きくハイサイドライトを取り、礼拝堂内は朝の光の舞う静かな祈りの空間を構成している。
家具は礼拝堂空間の重要な要素となるため、礼拝堂と同じ正方形をモチーフとし、その空間構造を模した。
文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より