島の歴史と聖書の物語を伝える

直島キリスト教会(香川直島伝道所)

日本キリスト教団|香川県香川郡直島町|2016年竣工

礼拝堂。大小の窓から光が射し込む
礼拝堂。大小の窓から光が射し込む
STORY

設計のはじまり

四国の社寺配置に見立てる

日本キリスト教団が、四国地方の伝道強化のために建て替えを決めた教会(伝道所)である。設計者選定では「直島だから安藤忠雄氏に」という声の多い中、私を推してくれた今は亡きM牧師とK牧師に感謝している。

設計に際して、M牧師から「日本の、この地でキリスト教の教会はどうあるべきかを提案してほしい」と言われた。考えれば考えるほど難題であった。

この教会では教会の各所の形に聖書の物語を引用した。四国独特のお接待と、また、日本の社寺仏閣の境内から社殿への所作を捉え、キリスト教に置き換えて表現してみた。

環境デザイン学科の有志学生も加わり、思い出深い産学共同となった。竣工式で表彰を受けた学生たちを誇らしく思った。

CONCEPT

設計のことば

この教会を守ってきた信徒の礼拝に加え、瀬戸内国際芸術祭に来島される国内外の方々に、直島の文化や伝統、キリスト教発展の歴史や聖書で語られるキリストの物語を、アート作品や空間を通してやさしく紹介する新しい形の体験型教会堂を設計した。

北側アプローチのキリスト教と直島の歴史を表現した階段から、南側礼拝堂先に残した古井戸までの約40mを参道に見立て、この軸線上にキリストや聖書にまつわる出来事を表した諸施設を配置し、訪れる人々は敷地全域にちりばめられたキリスト教の物語と空間を楽しみながら体験することができる。

教会堂内は、中央を南北に貫く直島の家並みと路地をイメージした「招きの通路」によって礼拝堂に導かれる。この通路両側の壁面には、世界34カ国語で書かれた「主の祈り」が壁に彫られている。

礼拝堂は瀬戸内海の明るい日が射し込むよう東西に45度振られ、聖なる光の溢れる空間となっている。また、礼拝堂や廊下には、キリストの物語を14枚のステンドグラスで表現したものがはめ込まれている。更に祈祷室は、地産の桧と光に囲まれた祈りの空間となっており、また、聖書展示室には日本で1冊といわれる貴重な明治初版の聖書と讃美歌集が展示されている。

この設計には多摩美術大学環境デザイン学科の学生も加わり、「直島キリスト教会産学共同プロジェクト」として行われたものである。

文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より

SKETCH & MODEL

スケッチと模型

計画概要

所在地
香川県香川郡直島町
教派
日本キリスト教団
敷地面積
1,042㎡
建築面積
111㎡
延床面積
111㎡
構造
木造
階数
地上1階
設計期間
2013年10月–2015年6月
施工期間
2015年7月–2016年3月

設計クレジット

建築設計
大岡山建築設計研究所/多摩美術大学環境デザイン学科
担当
田淵諭/国府田文雄/環境デザイン学科学生有志
構造設計
小西泰孝建築構造設計
設備設計
テーテンス事務所
照明設計
内原智史デザイン事務所
音響設計
浪花千葉音響計画
家具製作
岸上一正
ステンドグラス
三浦啓子
建築施工
富田工務店/石井工務店