CONCEPT
設計のことば
鹿島教会は、鹿島神宮駅から少し離れた台地に位置し、周りは閑静な住宅地である。建て替え前は幼稚園の2階に礼拝堂があったが、学校法人化によって独立棟の建築が必要となった。
新しい教会堂は、道路を挟んだ向かいの五角形の変形敷地に建築することとなった。教会堂は、敷地に合わせた五角形の平面形を持つ木造平屋で、9m×9mの正方形平面を持つ80人収容の礼拝堂と、これを囲む形で諸室が配置されている。礼拝堂は、正面聖壇の両サイドからスリット窓を通して聖壇の壁に礼拝時の光の移ろいを映すことができる。また、礼拝堂東側壁面上部にはタテ型のハイサイド窓を設け、そこに設置された羽状の板を並べたルーバーによって、礼拝時の光と影のコントロールを礼拝空間にもたらすことができる。
礼拝堂に心地よい光、聖なる空間をもたらす上で開口部をどう設計していくかは、とても重要な課題である。この心地よい光は、心地よい闇をもたらすことでもある。言い換えれば光のきれいな礼拝堂は闇のきれいな礼拝堂でもある。鹿島教会の礼拝堂は、この光と闇を無意識のうちに感じられる空間づくりを心掛けた。
また、礼拝堂は間口の広い引き戸によって、多目的室兼集会室と繋げることができる。この多目的室は、キッチンとも隣接していて、礼拝後の愛餐会(会食)でも頻繁に利用される。
エントランスは、高い吹き抜けからトップライトを通して、明るい太陽光を採り入れる。このトップライトからの光によって気持ちを日常から非日常に切り替え、礼拝堂に向かうことができる。
文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より