光と闇は表裏一体

鹿島教会

日本キリスト教団|茨城県鹿嶋市|2013年竣工

礼拝堂
礼拝堂
STORY

設計のはじまり

鹿島の車中で

毎月教会の打ち合わせには、東京駅から高速バスで向かった。鹿島神宮バスターミナルには、いつも教会員のN氏が笑顔で迎えに来てくれていた。

そこから教会までの車中、前回の委員会からの経緯を丁寧に話していただいた。教会に着く頃には、すっかりそのひと月の建築委員会の活動が理解でき、建築委員会をスムーズに進めることができた。メールでは伝えきれないコミュニケーションが、10数分の送迎の車中で図れたことは、直接会話できたからこそであろう。

設計が大分進んだ段階で2011年3月に東日本大震災が発生し、鹿島でも多くの家屋の屋根瓦落下等の被害に見舞われた。この震災以降、建築の安全確保の大切さと、設計者は何をしなければならないのかについて深く考えることになった。

CONCEPT

設計のことば

鹿島教会は、鹿島神宮駅から少し離れた台地に位置し、周りは閑静な住宅地である。建て替え前は幼稚園の2階に礼拝堂があったが、学校法人化によって独立棟の建築が必要となった。

新しい教会堂は、道路を挟んだ向かいの五角形の変形敷地に建築することとなった。教会堂は、敷地に合わせた五角形の平面形を持つ木造平屋で、9m×9mの正方形平面を持つ80人収容の礼拝堂と、これを囲む形で諸室が配置されている。礼拝堂は、正面聖壇の両サイドからスリット窓を通して聖壇の壁に礼拝時の光の移ろいを映すことができる。また、礼拝堂東側壁面上部にはタテ型のハイサイド窓を設け、そこに設置された羽状の板を並べたルーバーによって、礼拝時の光と影のコントロールを礼拝空間にもたらすことができる。

礼拝堂に心地よい光、聖なる空間をもたらす上で開口部をどう設計していくかは、とても重要な課題である。この心地よい光は、心地よい闇をもたらすことでもある。言い換えれば光のきれいな礼拝堂は闇のきれいな礼拝堂でもある。鹿島教会の礼拝堂は、この光と闇を無意識のうちに感じられる空間づくりを心掛けた。

また、礼拝堂は間口の広い引き戸によって、多目的室兼集会室と繋げることができる。この多目的室は、キッチンとも隣接していて、礼拝後の愛餐会(会食)でも頻繁に利用される。

エントランスは、高い吹き抜けからトップライトを通して、明るい太陽光を採り入れる。このトップライトからの光によって気持ちを日常から非日常に切り替え、礼拝堂に向かうことができる。

文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より

SKETCH & MODEL

スケッチと模型

計画概要

所在地
茨城県鹿嶋市
教派
日本キリスト教団
敷地面積
487㎡
建築面積
252㎡
延床面積
247㎡
構造
木造
階数
地上1階
設計期間
2010年6月–2012年8月
施工期間
2012年9月–2013年3月

設計クレジット

建築設計
大岡山建築設計研究所
担当
田淵諭/国府田文雄
構造設計
小西泰孝建築構造設計
設備設計
小林好伸/鼎建築設備計画
電気設備
中山明彦(アヴァンセ)
家具設計
大岡山建築設計研究所
建築施工
佐久間工務店
家具製作
セイアローズ