設計のはじまり
「日本一の教会」依頼と早とちり
「日本一の教会の設計をお願いしたい。ついては来週上京するのでよろしく」とT牧師から電話があった。私はてっきり日本一大きな教会かと思い込み、ワクワクしながら事務所に来られた牧師のお話を伺った。
牧師は「日本一素晴らしい(気持ちの大きい)教会をお願いしたい。予算はない」と言って微笑まれた。私はこの牧師の心意気に惹かれ、設計させていただくことを決めた。
牧師との出会いには、いつもワクワクとドキドキが同居する。先のことは、「神のみぞ知る」といつも神任せ。
行き交う人や車に両手を広げて

「日本一の教会」依頼と早とちり
「日本一の教会の設計をお願いしたい。ついては来週上京するのでよろしく」とT牧師から電話があった。私はてっきり日本一大きな教会かと思い込み、ワクワクしながら事務所に来られた牧師のお話を伺った。
牧師は「日本一素晴らしい(気持ちの大きい)教会をお願いしたい。予算はない」と言って微笑まれた。私はこの牧師の心意気に惹かれ、設計させていただくことを決めた。
牧師との出会いには、いつもワクワクとドキドキが同居する。先のことは、「神のみぞ知る」といつも神任せ。
大阪府堺市に建つ日本キリスト教団泉ヶ丘教会である。この建物は泉北ニュータウンの外れに位置し、50年前の大阪万博に併せて開発された幹線道路脇の住宅街の一角。敷地の北側は大きなニュータウン幹線道路に接し、南側は住宅街の4m道路に接し、西側は遊歩道の階段に接しており、敷地は南から北へ3.5mほどの高低差がある傾斜地である。建物はこの傾斜地に北面から南面へ差し込んだ形で計画し、道行く人や車に両手を広げるイエス・キリストをイメージしている。
建物全体は量塊のある礼拝堂のブロックと階段室エレベーターブロック、この2つの隙間をエントランスのガラスのボックスで繋いでいる。エントランス周りを90度振り、道路からの移動視線に対応した多面的ファサードとして計画した。
礼拝堂は日曜日の午前中に全ての機能が集中する空間である。礼拝堂空間は2層吹き抜けとして光を重視し、ハイサイドライトと聖壇上部のトップライトでこの時間の時の流れを、光の移ろいからも感じられる空間とした。構造として採用したショートスパンリブ柱で光の移ろいを強調している。
正面の聖壇は珪藻土に藁を入れた土壁とし、日本の風土と素材を考慮した「嘆きの壁」をイメージした。この部分には高さ10mに及ぶ吹き抜けとトップライトから光がこぼれる。
礼拝堂ゾーンは1階礼拝堂、2階事務室・牧師室、3階の集会室・祈祷室と繋がり、牧師館は南側の3.5m高い生活道路からのアプローチと動線を分け、とかく混同しがちな牧師のプライバシーを保護している。
文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より









