CONCEPT
設計のことば
武蔵野の面影を残す西東京市の、閑静な住宅地の一角に佇むプロテスタントの教会である。
この教会は、鉄筋コンクリート造3階建て(一部鉄骨造)で、110席を有する礼拝堂、ギャラリー、日曜学校室、キッチン、牧師室等から構成されている。南北に長い敷地に対して、礼拝堂空間を南に向けて配置し、礼拝の行われる朝の光に対する配慮をした配置計画となっている。
外部空間のゲートは、教会の入り口であり、敷地への入り口でもある。そして同時に、これは教会の近隣の方々に対して開かれた、イエス・キリストに触れる門でもある。
礼拝堂には、松集成材の梁を曲面状に架け、柔らかな広がりを持った空間となるよう工夫した。礼拝堂内の東側壁面には20個の形の異なる窓を設け、この窓を通し光がモザイクのように輝き礼拝堂内に降り注ぐ。日曜の朝には、日射しと影とが礼拝堂内を戯れる。忙しさに追われた現代人が、静かな祈りの時と変わらぬ確かな空間を感じることができれば、これ以上の幸せはない。ステンドグラスは洋画界の長老田中忠雄画伯の遺作となった。
夜ともなると、R屋根の軒裏のスリットから外に漏れる光が路地を照らし、道行く人々の足元を照らし始める。これら目に見える光だけでなく、この教会が広く地域の人々の心を照らし、その行く手を導く役を担ってゆくことを祈りたい。
文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より