神学校閉校から新たな命を繫ぐ

学園教会

日本ナザレン教団|千葉県千葉市稲毛区|2010年竣工

学園教会
STORY

設計のはじまり

突然の電話

「あなたの設計した教会の掲載誌を見ました」と言って、日本キリスト教短期大学のA理事長から突然電話をいただいた。大学に打ち合わせに伺うと、「牧師を志す学生が減少し廃校が決まっている」とのこと。「しかし、廃校はマイナスのことではなく、キリストの復活のように新しい命を得るようにプラスで考えたい」「今ここに創始者を記念する教会の建築を考えている。ついては、教会設計に対する考え方を聞きたい。」との話であった。

また、「神学校であったことを建築で表現した教会の設計をしてほしい」「マグダラのマリア像の意味を表現してほしい」などの希望を伺った。初対面にもかかわらず、すっかり話し込み、大学を出たのは深夜になっていた。

数日後、理事長から正式に設計依頼の連絡があった。

CONCEPT

設計のことば

昭和期のキリスト教教育の先駆的役割と牧師養成に大きな成果を挙げた日本ナザレン教団「日本基督教短期大学」の閉校に合わせ、新たなキリスト教布教活動の拠点教会として、また同教団の全国集会や研修の拠点として教会堂が計画された。

エントランスとその先の十字架を結ぶ「招きの軸」を設け、その動線上に礼拝堂(170席)とラウンジ、事務室、小礼拝堂(40席)を配置した。この軸と直交して「祈りの軸」を設け、その動線上に中庭、思索の回廊、集会室、祈祷室を配置した。

空間構成は、祈りと思索の最も純化されたシトー派修道院の配置を下敷きにしている。教会堂を訪れた人は、奧の十字架と光により各施設に導かれる。礼拝堂は、太陽の動きを捉え刻々と変化する時の流れと光の移ろいを祈りと賛美に織り込むことのできるよう、ランダムに窓を配置しステンドグラスで光を拡散させている。

祈りや思索、交わりを持つ諸施設を巡る回廊と中庭は、同施設でも重要な意味を持つ場所である。この中庭中央には、旧短大のホールに設置されていたマグダラのマリア像を移設し、閉校した短大や卒業生の記憶を繋げていく役割を担わせた。

文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より

計画概要

所在地
千葉県千葉市稲毛区
教派
日本ナザレン教団
敷地面積
1,843㎡
建築面積
803㎡
延床面積
758㎡
構造
RC造
階数
地上2階
設計期間
2008年1月–2009年2月
施工期間
2009年3月–2010年5月

設計クレジット

建築設計
大岡山建築設計研究所
担当
田淵諭/国府田文雄/江川竜平/佐藤みどり
構造設計
斎藤欽弥(団設計同人)
設備設計
小林好伸(鼎建築設備計画)
電気設備
中山明彦(アヴァンセ)
照明設計
大岡山建築設計研究所
音響設計
永田音響設計
家具設計
大岡山建築設計研究所
外構設計
吉村純一(プレイスメディア)
ステンドグラス
三浦啓子
建築施工
堀江建設工業/三位会/佐久間工務店
家具製作
アダル