緑の中に建てる

阿佐谷東教会/阿佐谷幼稚園

日本キリスト教団|東京都杉並区|2012年竣工

阿佐谷東教会/阿佐谷幼稚園
STORY

設計のはじまり

大きな樹の中に建てる

かつて広く平坦な敷地に、大きな木々に囲まれた教会と幼稚園、牧師館が建っていた。誰もの記憶にあるような、懐かしさに溢れて建っていた。

全面建て替えに際しては、こういう記憶を残すことほど設計で難しいものはないと思っている。この教会では、礼拝堂に射す光と色でそのイメージをなんとか残せないかと考えた。また旧集会室にあった絵画を修復し、教会の記憶を次に繋げるものとしてエントランスホールに掲げた。

建築へのアプローチは、礼拝堂通路の軸線と幼稚園通路の軸線で大きく十字架を象っている。

CONCEPT

設計のことば

緑の多い地域で、敷地内にも区の指定を受けた大木が何本もあり、これらをできる限り残す計画を立ててスタートした。

配置計画では、奧にあった礼拝堂を全体のシンボルとして道路側に設け、施設の顔とした。礼拝堂は8m×9.5m、高さ5.8–8m。南向きのバシリカ式とし、自然光を感じながら礼拝が行えるよう東側上がりの片流れ屋根とした。この東側の壁にはハイサイドライトを設け、そこに架けた構造梁を通して礼拝空間に時の影を落としてくれる。

礼拝堂は旧礼拝堂の雰囲気を残すため、焦げ茶色と漆喰調の白色とで清楚な雰囲気を確保している。聖壇正面の十字架にはガラスをはめ込み、聖壇部分に聖なる空間を醸し出すと同時に、道行く人に教会の存在を静かに伝えている。クリスマス等大人数の礼拝には、礼拝堂後部会議室の扉を開け広げることもできる。また、2階幼稚園ホールの引き戸を開け放つことで礼拝堂と繋ぐこともできる。

礼拝堂上部の屋根は一部くり抜き、旧会堂の鐘を組み込んでいる。建物は南北に連なる礼拝堂・幼稚園ホール・牧師館と、東西に延びた幼稚園舎が十字架形となるよう配置され、教会とその付属幼稚園であることを視覚的に造形した。南東に大きな園庭、北西に小さな園庭を配置し、幼稚園児の多様な遊び場を設けた。建物は鉄骨造で2階にはホールと牧師館を併設している。

文章:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)より

計画概要

所在地
東京都杉並区
教派
日本キリスト教団
敷地面積
1,202㎡
建築面積
559㎡
延床面積
712㎡
構造
鉄骨造
階数
地上2階
設計期間
2009年10月–2011年8月
施工期間
2011年9月–2012年8月

設計クレジット

建築設計
大岡山建築設計研究所
担当
田淵諭/江川竜平
構造設計
斎藤欽弥(団設計同人)
設備設計
テーテンス事務所
音響設計
森本浪花音響計画
家具設計
大岡山建築設計研究所
建築施工
北野建設