TRAVEL & SKETCH 24/36

エンゲルベルト教会

ドイツ/ケルン

エンゲルベルト教会のスケッチ(田淵 諭)
スケッチ:田淵 諭

ドイツのケルン中央駅から車で北へ20分ほど。木々に囲まれた住宅街の一角にエンゲルベルト教会は建っている。神父館やセミナー棟、幼稚園を併設しているので、全体として大きな教会施設である。ドミニクス・ベームの設計により1932年献堂。彼は建築家としてだけでなく、当時のドイツで典礼刷新に多大な影響を与えた人物としても知られる。

2008年9月。訪ねた土曜日は、教会前の並木道に移動マーケットが立ち並び朝から家族連れで活気を見せていた。嬉しさと緊張感で高まる気持ち。しかし、それは教会堂の扉の前に立ったとたん凍りついた。なんとそこに「工事中につきしばらく封鎖」の貼り紙。どこもかしこも閉まっており、神父館の呼び鈴を押しても応答がない。待ちくたびれて帰りかけた時、神父が出てこられた。ありったけの英語を使って事情を説明、やっとのことで礼拝堂内を案内していただけることになった。

3本のパラボラアーチを備えた円形礼拝堂。広いスペースを聖所に充て、その中央には信徒の典礼参加を促す祭壇が置かれている。聞けばあちこち老朽化し、雨漏りもひどく、パイプオルガンも壊れたため全面改修しているとの話。本で見ていた長廊式の空間は、現在の礼拝の流れを汲んでこの改修により会衆席を集中式に改めるという。また、ドイツの伝統に倣い、洗礼室は礼拝堂脇の半地下の別室に移されるとのことであった。

がらんとした礼拝空間の所々に立つ足場、白く補修されたばかりの壁。聖壇脇から射し込む光とステンドグラスを通して対面の壁に映る朝日。工事中であっても、主の祝福と神の臨在を感じさせるアーチ天井を頂く素晴らしい礼拝堂であった。

冷や汗と至福の後、マーケットで買った青リンゴのうまかったこと!

文章・スケッチ:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)3章「旅とスケッチ 聖なる空間を訪ねて」より