TRAVEL & SKETCH 14/36

アミアン大聖堂

フランス/アミアン

アミアン大聖堂のスケッチ(田淵 諭)
スケッチ:田淵 諭

パリからの車輌には、賑やかな年配の6人連れと私。5月の穀倉田園地帯をひた走ること約1時間半、終点アミアンに到着。一行もどうやらアミアン大聖堂をめざしているようだ。

フランス盛期ゴシック建築の中で最大規模を誇り、全長145m、ゴシックの王者と称せられるアミアン大聖堂。西側正面に立つと、左右違う塔が印象的である。南塔は1366年頃、北塔は1401年頃建てられ、以来フランスのゴシック大聖堂には、双塔を備えるこの形式が一般化した。塔の最先端までは112m。1152年に献堂された当初の聖堂は1218年の雷火、1258年の火災により焼失。内陣の聖職者席、尖塔を支える木組みなどが燃え、石造りでも焼け落ちるのか。人々の悲嘆、再建の熱意はどれほどであったろう。

聖堂内部に歩を進める。暗い聖堂内をイメージしていた私は意表を突かれ足が止まる。側面のステンドグラスから入る光によって、白い石を積み上げた繊細な柱が軽々と天井を支えているように感じる。浮遊感と神々しさ。身廊の天井高は42m余り。ボーヴェにあるサン・ピエール大聖堂の48mに次ぐが、完全な形として存在する聖堂では最大である。側廊と周歩廊を隔てて7つの祭室を備える構成になっており、この形もその後の内陣形式の典型となっている。ここには、バプテスマのヨハネの頭部遺骨が聖遺物として納められているという。

聖書の百科事典といわれるほど多くの物語が彫られた外観、内陣障壁の石彫、120人分の聖職者席に施された見事な木彫、そこをたどることが巡礼となり神に近づくことになるという大理石の床に描かれた八角形の迷路など、時の経つことを忘れる聖堂であった。

聖堂は建設に限りない年月を費やすが、この大聖堂は70年に満たない年数で造られた。屋内で石を加工、現地で組み立てるというプレファブ工法が用いられたというから驚きである。

文章・スケッチ:田淵諭『光と祈りの礼拝堂』(教文館、2023)3章「旅とスケッチ 聖なる空間を訪ねて」より